岡山大学工学部 数理データサイエンスコース
岡山大学大学院環境生命自然科学研究科
数理データ科学コース

高校生の皆さんへ

数理データサイエンスコースについて

データサイエンスとはどんな学問ですか?

一言でいえば、データから知見を得て新たな価値を創り出すための方法を研究する学問です。いくつか例を挙げると、

  • 気象データから、近年の異常気象を解明する手掛かりを見つけられないか。
  • 感染者数などのデータから、感染症の流行状況を把握し、今後の流行を予測できないか。
  • ウェブページの閲覧履歴や商品の購買履歴のデータから、新たなビジネスチャンスにつながるヒントが得られないか。

データサイエンスは、数学・情報の知識・技能のみならず、文理を問わず諸分野の背景的知識と融合して課題を解決しようとする学際的な学問です。

なぜ「数理」データサイエンスコースという名前なのですか?

 人工知能 (AI) の仕組みをご存じでしょうか。今話題となっている生成系AIをはじめ、AIの基礎技術である機械学習・深層学習の方法を紐解いていけば、その多くは数学や統計学の理論・モデルをもとにして開発されています。また、AIはブラックボックスであるという課題を抱えていることから、AIの中身を理解しようとする「説明可能AI」の研究も進められています。いずれにしても、AIを真に理解するためには、高度な数学と数値計算の技術が不可欠です。

「数理」(Mathematical Science) は数学の応用に関する研究分野を指します。近年国内で設置されているデータサイエンスに関する学部・学科等の多くが文理融合型となっているのに対して、当コースは、理系学部の強みを活かし、数理に強い技術者・研究者の育成を目指しています。  数学の重要性については、日本経済団体連合会や著名な研究者らも声明を出しています。このように産業界では数学・数理に強い人材が求められています。

数理データサイエンスコースではどのようなことを学べますか?

①基礎から発展まで、数学をしっかり学べる

数理科学や深層学習の最新技術に関する論文を理解するためには、基礎から高度な内容までを含む数学(微分積分・線形代数など)の知識が必要です。コース必修の講義・演習科目を通じて、これらの知識を体系的に身に着けることができます。

②データサイエンスの2大言語である Python と R を学べる

コース必修科目「数理プログラミング1, 2」「統計データ解析演習」をはじめ、多くの授業の中で取り入れています。

③データの活用方法について学べる

コース必修科目「データ活用基礎」「データ活用実践演習」、さらに「特別研究」などの授業で、課題解決のための訓練を積みます。

数理データサイエンスコースではどのような研究をしていますか?

当コースの教育・研究の柱は以下の三つです。

  • 数理科学(数学の応用)
  • 計算科学(コンピュータの活用)
  • データ科学(データの解析・活用)

私たちはこれらを「三本の矢」(毛利元就が3人の息子に説いた教えで、3人が協力すれば強い力を発揮できるということ)に例えています。

当コースには大きく分けて三つの研究分野があります。大まかには上記の柱に対応しますが、融合した研究も行っています。詳しくは各研究分野へのリンクをご覧ください。

  • 応用数理学および数理データ活用学
  • 現象数理科学
  • 統計データ科学

また、岡山大学はAI・数理データサイエンスセンターを設立し、AIおよびデータサイエンスに関する教育・研究に力を入れています。当コースの教員も多く関わっています。

理学部数学科の教育・研究とはどのような違いがありますか?

岡山大学には理学部数学科があります。代数・計算数理科学、空間数理科学、解析・汎用数理科学の三つの研究分野からなり、現代数学の諸概念と理論体系を学ぶことができます。コンピュータを用いた情報関連科目の教育にも力を入れています。

 理学部数学科と工学部数理データサイエンスコースの教育・研究は類似している内容もありますが、関心の軸足をどこにおいているかに違いがあるといえます。数学(数理科学)の理論を体系的に修得したいという方は理学部数学科を、数学(数理科学)を現象の解明や課題解決に活かしたいという方は工学部数理データサイエンスコースを目指すとよいでしょう。

数理データサイエンスコースで学ぶために、高校でどのような準備をすればよいですか?

「数学」「情報」の各教科をしっかり学び基礎力を身につけてください。数学はどの単元も重要ですが、特に大学でのデータサイエンスの学びに直結する単元を以下に挙げます。

  • 数学Ⅰ「データの分析」、数学A「場合の数と確率」
  • 数学Ⅱ・Ⅲ「微分法・積分法」、数学B「数列」「ベクトル」
    ※新課程では「ベクトル」は数学Cに移行

数学B「確率分布と統計的な推測」の内容は、高校によっては扱わないところもあると思いますので、入学後に工学部専門基礎科目で修得できます。  プログラミング言語は大学の授業で学べます。高校の「情報Ⅰ」の内容を理解していれば十分です。

数理データサイエンスコースに入るにはどのような方法がありますか?

(1)入試について

岡山大学工学部では以下の入試を実施します。詳細は工学部ウェブページをご覧ください。

  • 学校推薦型選抜
  • 一般選抜(前期日程)
  • 国際バカロレア選抜
  • 私費外国人特別選抜

 このほか、工学部では3年次編入試験を実施します。合格すれば数理データサイエンスコースの3年次に編入となります。

(2)コース配属について

 1年次は情報・電気・数理データサイエンス系に所属し、同系で共通のカリキュラムとなっています。情報・電気・数理データサイエンス系は4つのコースからなり、1年次の成績と学生の希望に基づいて、2年次進級時にコースに配属されます。数理データサイエンスコースを希望する学生は、1年次に通常の成績を修めていれば、まず希望通りに配属されるはずです。なお、工学部では転系(2年次進級時)・転コース(3年次進級時)の制度もあります。

数理データサイエンスコースで取れる免許・資格はありますか?

中学校教諭一種免許状・高等学校教諭一種免許状(いずれも数学)

必要な科目・単位を修得すれば、中・高の数学の教員免許を取得できます。

また、カリキュラムとなっているものではありませんが、コースでの学修を通じて、統計検定(学部卒で2級程度)などデータサイエンスに関する資格試験に合格する能力を修得することができます。

コース卒業後はどのような職業に就けますか?

(前身である環境理工学部環境数理学科の実績です)
卒業生の約6割が大学院博士前期課程に進学します。学部卒業・修士修了後の進路は、情報通信業、製造業、金融・保険業、教員・公務員など多岐にわたっています。具体的な就職先はこちらをご覧ください。

卒業・修了後のキャリアパスとして、特に数理データサイエンスコースで修得した知識・技能を活かせる職業を以下に挙げます。もちろん就職先がこれらに限定されるわけではありません。

職業主な就職先仕事の内容
数学教員中学校・高等学校など中学校・高等学校における数理・データサイエンス教育(教育職員免許状が必要)
研究者・大学教員大学・研究機関大学・研究機関における高度な教育・研究
金融アナリスト銀行・証券会社企業分析、金融指標・商品の予測
アクチュアリー
(保険数理士)
生保・損保会社保険・年金に関する計算・リスク分析
治験解析担当者製薬企業・医薬品開発業務受託機関 (CRO)治験(医薬品等の有効性・安全性を確認するための試験)の計画・データ収集・解析
システムエンジニア情報通信系企業 製造業など情報システム、ソフトウェアの
設計・開発・運用保守
データサイエンティストコンサルティング企業
情報通信系企業 その他一般企業
膨大なデータの収集・解析・活用により、企業等の意思決定を支援

コース研究紹介

(1)SDGs取組み事例

(2)授業動画

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